見えにくい・目がかすむ
目がかすむ、物が見えにくいといった症状は、一時的な原因と何らかの疾患による原因に分けられます。目のかすみが一時的なものか病気によるものかは、自己判断が難しいことがあります。特に次のような場合は、早急に眼科を受診することが重要です。
- かすみが続く、もしくは急に現れた
- 痛み、充血、視力低下を伴う
- 視野の一部が見えにくい、歪んで見える
目のかすみの原因はさまざまですが、早期発見と適切な治療により症状の進行を防ぐことができます。当院では詳しい検査を行い、患者さんの状態に合わせた治療や生活アドバイスをご提供いたします。気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。
一時的な原因
眼精疲労
長時間パソコンやスマートフォンを使用すると、目の筋肉が疲労し、ピント調節がうまく働かなくなることがあります。これにより、視界が一時的にぼやけたり、かすんだりすることが起こります。
ドライアイ
涙の量や質が不足し、目の表面が乾燥すると、光が均等に届かず視界がかすむことがあります。特に乾燥した環境や瞬きの回数が減るパソコン作業中に症状が出やすいです。
疾患による原因
白内障
加齢によって目の中の水晶体が濁る病気です。光がうまく通らなくなるため、視界がかすむ、ぼやける、まぶしさを感じるといった症状が現れます。
緑内障
眼圧の上昇によって視神経が圧迫され、視界の一部が欠けたり、かすんだりします。進行しても自覚症状が少なく、気づかないうちに視野が狭くなることがあるため注意が必要です。
加齢黄斑変性
網膜の中心部分である黄斑が障害される病気です。視界の中心が**ぼやけたり、ゆがんで見える**ことが特徴で、加齢が主な原因です。
ぶどう膜炎
目の内部に炎症が生じる病気で、視界のかすみやまぶしさ、充血が現れます。放置すると視力低下につながるため早期の治療が重要です。
糖尿病網膜症
糖尿病により網膜の血管が傷つくことで視力が低下し、視界がかすむことがあります。進行すると失明に至ることもあるため、糖尿病患者は定期的な眼科検診が必要です。
その他の原因
- 屈折異常:
近視、遠視、乱視といった屈折異常では、目のピントが合わず視界がぼやけることがあります。適切な眼鏡やコンタクトレンズの使用で矯正が可能です。 - 老眼:
加齢により水晶体のピント調節機能が低下することで、近くの物が見えにくくなります。40歳以降に発症しやすい症状です。
まぶしく感じる
まぶしさ(羞明)とは、光に対して過敏に反応し、目を開けているのがつらい状態を指します。日常的な光でも過剰にまぶしく感じることがあり、眼の疾患やその他の要因が関与している場合があります。
まぶしさが続く場合や痛み、視界のかすみ、充血を伴う場合は、緊急性の高い疾患の可能性も考えられるため、早めに眼科を受診することが重要です。適切な診断と早期の治療を行うことで、症状の改善や悪化の予防が期待できます。
当院では、まぶしさの原因を詳しく診断し、患者さん一人ひとりに合った治療法を提案いたします。目の違和感やまぶしさを感じた際は、どうぞお気軽にご相談ください。
眼の疾患による原因
白内障
白内障は水晶体が濁る病気で、光が乱反射するためにまぶしさを感じやすくなります。加齢が主な原因で、進行すると視界がかすむ症状も現れます。
角膜障害
- 角膜炎:角膜(黒目の表面)に炎症が生じ、痛みや充血、まぶしさが現れます。
- 角膜びらん:角膜表面に傷がつくことで、光が刺激となり、まぶしさを感じやすくなります。
ぶどう膜炎
眼球内のぶどう膜に炎症が起こる病気です。強い痛みや視界のかすみとともに、光に対して過敏になります。
緑内障
緑内障では眼圧の上昇により視神経が障害されることで、視野が狭くなり、光に対して過敏になることがあります。特に暗い場所から明るい場所に移動した際に強いまぶしさを感じることがあります。
網膜色素変性症
遺伝性の疾患で、網膜の働きが低下します。明るい光に対して過敏になり、羞明が強く現れることが特徴です。
ドライアイ
涙の量や質が不足し、角膜表面が乾燥すると光の刺激が直接目に伝わり、まぶしさを感じやすくなります。
その他の要因
眼精疲労
長時間のパソコンやスマートフォン作業などで目の筋肉が疲れると、ピント調節がうまくいかなくなり、光をまぶしく感じることがあります。
屈折異常(乱視など)
乱視があると光が正確に網膜に焦点を結ばず、光が乱反射するため、まぶしさを感じやすくなります。適切な眼鏡やコンタクトレンズで矯正が必要です。
コンタクトレンズによる乾燥
コンタクトレンズの長時間装用による目の乾燥が原因で、光の刺激に敏感になることがあります。
黒いものが見える
視界に黒いものが見える症状「飛蚊症」について
飛蚊症とは、視界に黒い点や糸くずのようなものが浮かんで見える症状を指します。目を動かしてもそれらが一緒に動くことが多く、まるで「蚊が飛んでいる」ように見えることから「飛蚊症」と呼ばれます。
この症状は大きく生理的飛蚊症と病的飛蚊症の2種類に分けられます。多くの場合、加齢による生理的な変化ですが、突然の症状や異常を伴う場合は、網膜裂孔や網膜剥離などの病気が隠れている可能性があります。特に60歳前後で突然症状が現れた場合は、速やかな眼科受診が重要です。
適切な診断と治療により、重大な視力障害を防ぐことができます。飛蚊症の症状が気になる場合は、自己判断せずに専門医の診察を受けるようにしましょう。
生理的飛蚊症
生理的飛蚊症は、目の硝子体の変化によって引き起こされる症状です。硝子体とは目の中を満たすゼリー状の物質で、光を網膜に届ける役割を果たしています。年齢に関係なく発症する可能性がありますが、加齢による硝子体の変性や収縮によって起こりやすいため、年齢を重ねるにつれて症状が気になり始める方が多いです。
基本的に治療の必要はなく、経過観察で十分ですが、症状が突然悪化した場合や異常を感じる場合は、他の病気の可能性があるため眼科受診が必要です。
病的飛蚊症
病的飛蚊症は、硝子体だけでなく、網膜や眼球内に異常がある場合に発生します。
- 急に黒い点や浮遊物が増加する
- 視界の一部が欠ける、または見えにくくなる
- 閃光(光が走るように見える)が現れることがある
- 痛みや視力低下を伴う場合がある
以上のような症状がみられたら、早急に眼科を受診してください。
病的飛蚊症は放置すると進行し、視力を失う可能性があるため、早期治療が重要です。
病的飛蚊症の主な原因
- 網膜裂孔・網膜剥離:
網膜に穴が開いたり、剥がれる病気。光の情報が正しく伝わらず、飛蚊症や視力低下を引き起こします。 - 硝子体出血:
網膜の血管が破れて硝子体内に出血が起こり、黒い影が見える。 - ぶどう膜炎:
目の内部に炎症が生じ、飛蚊症や痛み、視力低下を伴います。 - 糖尿病網膜症:
糖尿病による血管障害が網膜に影響し、硝子体出血や視力低下を引き起こします。
飛蚊症の検査内容
- 眼底検査:
網膜の状態を確認し、異常がないか診断します。 - 硝子体検査:
硝子体の濁りや出血の有無を確認します。
飛蚊症の治療方法
生理的飛蚊症の治療
治療の必要はなく、経過観察が基本です。慣れてくると症状が気にならなくなることが多いです。
病的飛蚊症の治療
- 網膜裂孔・剥離:レーザー治療や硝子体手術を行います。
- 硝子体出血:原因に応じて出血を吸収させる治療を行います。
- ぶどう膜炎:炎症を抑えるための点眼薬や内服薬を使用します。
物が二重に見える
物が二重に見える症状は複視と呼ばれ、日常生活に支障をきたすことが多い症状です。
- 突然、物が二重に見えるようになった
- 頭痛やめまい、手足のしびれを伴う
- 視界の一部が欠ける
- 目の動きが制限される
以上のような症状がある場合は、重篤な疾患の可能性があるため、速やかに眼科や専門医を受診する必要があります。
複視には、
- 片目で見ても二重に見える「単眼複視」
- 両目で見たときに二重に見える「両眼複視」
この2つのパターンがあり、それぞれ原因が異なります。
単眼複視の原因と治療法
単眼複視は、片目を閉じても二重に見える状態であり、目そのものに問題があることが多いです。
- 乱視:
角膜の表面が歪んでいることで光が不規則に屈折し、焦点が複数生じるため、物が二重に見えます。 - 白内障:
水晶体が濁ることで光が乱反射し、視界がかすんだり、二重に見えることがあります。 - 屈折異常:
近視や遠視、乱視などの屈折異常が矯正されていない場合、焦点が合わずに物が二重に見えることがあります。 - 角膜の瘢痕や水晶体の位置のずれ:
角膜に傷跡(瘢痕)がある場合や水晶体が正常な位置からずれることで光の屈折に乱れが生じます。
単眼複視は、適切な眼鏡やコンタクトレンズで矯正して治療します。白内障が原因の場合は、手術で濁った水晶体を人工レンズに置き換えます。
両眼複視の原因と治療法
両眼複視は、両目を開けたときに二重に見える状態です。片目を閉じると症状がなくなるのが特徴で、目の動きや脳の神経に問題があることが多いです。
- 斜視:
両目が異なる方向を向くことで、左右の目の映像がずれ、物が二重に見えます。 - 眼筋麻痺:
目を動かす筋肉が麻痺し、視線の向きにズレが生じて二重に見えることがあります。 -
脳神経疾患:
脳の病気によって、目の神経に障害が起こり、複視が生じることがあります。 -
甲状腺眼症:
甲状腺機能異常に伴い、眼球周囲の組織が腫れ、目の動きが制限されることで複視が起こります。 -
重症筋無力症:
目の筋肉が疲労しやすくなる病気で、目を動かす機能が低下し複視が生じます。
これらの場合、原因疾患の治療(斜視の矯正手術や神経疾患の治療)が必要です。
心配いらない症状
- 眼精疲労:
長時間のパソコン作業やスマートフォンの使用により目の筋肉が疲労し、一時的に複視が生じることがあります。 - 老眼:
加齢に伴うピント調節機能の低下により、近くの物が見えづらく、二重に見えることがあります。 - ドライアイ:
涙の量や質の低下により角膜が乾燥し、光の屈折が乱れて二重に見えることがあります。
これらの症状は、
- 目を休める、適度に瞬きを意識する
- 老眼鏡や点眼薬を使用し、目の負担を軽減する
といった対策で症状が軽減されます。
物が二重に見える症状(複視)は、単なる目の疲れや老眼の場合もありますが、脳卒中や甲状腺疾患、神経麻痺など重大な病気が原因となることもあります。特に突然症状が現れた場合や頭痛、めまいを伴う場合は、早急に医療機関を受診することが重要です。
当院では、複視の原因を詳しく検査し、患者さんの症状に応じた適切な治療を行います。気になる症状があれば、早めにご相談ください。
老眼
老眼(老視)とは、加齢に伴う目の調節機能の低下により、近くのものが見えにくくなる状態を指します。日常生活において本や新聞が読みづらくなったり、目の疲れを感じるようになりますが、これは自然な加齢現象の一つです。
近くのものが見えにくい、目が疲れるといった症状が現れたら、適切な眼科検診と矯正が重要です。当院では、患者さんのライフスタイルに合わせた矯正法や治療法をご提案いたします。症状が気になった際は、どうぞお気軽にご相談ください。
老眼の症状と特徴
老眼が進行すると、以下のような症状が現れます。
- 近くのものが見えにくい
特にスマートフォンの画面や本の文字がぼやけて見えるようになります。 - 本や新聞を遠ざけないと読みづらい
自然と目から離して見るようになるため、周囲から「手が長くなった」と指摘されることがあります。 - 暗い場所でより見えにくくなる
明るい場所では瞳孔が縮小しピントが合いやすくなるため、暗い環境ではより見えづらさが増します。 - 目の疲れや頭痛
無理にピントを合わせようとすることで、目の疲労や頭痛が引き起こされることがあります。
老眼は、目の中の水晶体やピントを調整する毛様体筋の働きが低下することで引き起こされます。一般的に40歳代から上記のような老眼の症状が現れ始めます。老眼は徐々に進行し、60歳頃までに安定することが多いです。この間に視力の変化を感じやすくなるため、定期的な眼科検診が重要です。
老眼の対処法
老眼は予防することが難しいですが、以下の対処法により日常生活への影響を軽減できます。
老眼鏡の使用
近くのものを見る際に必要な度数の老眼鏡を使用することで、視力の負担を軽減します。
遠近両用メガネ・コンタクトレンズ
遠くも近くも見やすくなるように設計された遠近両用メガネやコンタクトレンズが効果的です。日常生活の中で使用するシーンに応じて選ぶことができます。
外科的治療(多焦点眼内レンズ手術)
白内障手術と併せて多焦点眼内レンズを挿入することで、遠くと近くの両方に焦点が合うようになります。手術による老眼の矯正も選択肢の一つです。
老眼と付き合うために
老眼は加齢に伴う自然な現象ですが、放置すると目の疲れや生活の不便さが増大します。そのため、以下の対策が大切です。
- 定期的な眼科検診:
目の状態や老眼の進行度を確認し、適切な矯正方法を相談しましょう。 - 症状に応じた矯正具の使用:
老眼鏡や遠近両用レンズを適切に使い分けることで快適に過ごせます。 - 生活習慣の見直し:
目の負担を軽減するため、適度に目を休める習慣をつけましょう。