アレルギー検査
アレルギー検査は、アレルギー症状の原因を特定し、早期に適切な治療を開始するのに役立ちます。
当院では、ドロップスクリーンという検査機器を導入しています。ドロップスクリーンは、従来のアレルギー検査とは異なる、より簡便で迅速な検査方法です。
ドロップスクリーンの特徴
- 採血方法:
指先に小さな針を刺して1滴の血液を採取します。 - 検査項目:
一度に41項目のアレルゲンを調べることができます。 - 結果の速さ:
最短で検査翌日に結果が分かります。
小さなお子さんから採血が苦手な方など、これまでのアレルギー検査に負担を感じていた方にお勧めです。
ドロップスクリーンの検査内容
ドロップスクリーンで調べられるアレルゲンには以下のようなものがあります。
- 花粉(スギ、ヒノキなど)
- 食物(鶏卵、牛乳、小麦など)
- ダニ
- ペットの毛(猫、犬など)
検査結果は、クラス0(陰性)からクラス2以上(陽性)で判定されます。
食物アレルギーの検査には偽陽性が出やすい傾向があるため、主に吸入抗原の検査(空気中のアレルゲンに対する反応)に適しています。
アレルギー性結膜炎
アレルギー性結膜炎は、アレルギー反応により目の充血やかゆみが起こる疾患です。この病気は、外部からの異物(アレルゲン)に対して体が過剰に反応することで発症します。
アレルギー性結膜炎の主な症状
アレルギー性結膜炎の主な症状には以下のようなものがあります。
- 目やまぶたの強いかゆみ
- 結膜の充血
- 目のゴロゴロ感
- まぶたの腫れ(眼瞼浮腫)
- 白色〜透明なサラサラとしためやに
- 光に対する過敏性(重症例では羞明)
- 流涙
多くの場合、これらの症状は両眼に現れます。
アレルギー性結膜炎の主な原因
アレルギー性結膜炎の主な原因は以下のようなアレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)です。
- 花粉:
スギ、ヒノキ、ブタクサ、カモガヤ、ヨモギなどの植物の花粉 - ハウスダスト:室内に存在する微細な粒子
- ダニ:チリダニなどの室内に生息する微小生物
- ペットの毛や鱗屑:犬や猫などのペットから出る毛や皮膚片
- コンタクトレンズの汚れ:レンズに付着した異物
- カビの胞子:空気中に浮遊するカビの胞子
これらのアレルゲンが目の粘膜(結膜)に付着すると、体内の免疫システムが過剰に反応し、アレルギー性結膜炎を引き起こします。
季節性のアレルギー性結膜炎は主に花粉が原因となり、通年性のアレルギー性結膜炎はハウスダストやダニなどが原因となります。
発症メカニズム
アレルギー性結膜炎の発症メカニズムは以下のようになっています。
- 空気中の花粉などのアレルゲンが目の粘膜に付着する。
- 目の粘膜に存在する肥満細胞上の抗体にアレルゲンが結合し、ヒスタミンなどの化学伝達物質が放出される。
- 放出されたヒスタミンが目の血管や知覚神経を刺激し、症状が現れる。
関連する疾患
アレルギー性結膜炎の患者は、しばしば他のアレルギー性疾患も併発することがあります。
例えば、
- アレルギー性鼻炎
- 喘息
- アトピー性皮膚炎
などがあげられます。
アレルギー性結膜炎の治療
アレルギー性結膜炎の治療には、主に以下のような方法があります。
- 抗アレルギー点眼薬:
メディエーター遊離抑制薬やヒスタミンH1受容体拮抗薬などが使用されます。 - ステロイド点眼薬:
症状が重い場合に使用されることがありますが、副作用に注意が必要です。 - 生活習慣の改善:
アレルゲンを避ける対策を行うことが重要です。 - セルフケア:
かゆみが強い時は、冷やしたタオルをまぶたに当てたり、人工涙液を点眼したりする方法があります。
アレルギー性結膜炎の症状が現れ始めたら、早めに眼科を受診することが推奨されます。日常生活に支障をきたす前にご相談ください。
目の花粉症
花粉症による目のかゆみ・痛みは当院へ
花粉症は、植物の花粉が原因となって引き起こされるアレルギー性疾患です。
花粉症の主な症状には、
- 鼻の症状:くしゃみ、鼻水、鼻づまり
- 目の症状:かゆみ、涙、充血
- その他:のどのかゆみ、皮膚のかゆみ、下痢、熱っぽい感じ
などがあげられます。
花粉症は日常生活に大きな影響を与え、社会的損失も大きい疾患です。症状が現れたら、適切な対策や治療を行うことが重要です。
花粉症が発症するメカニズム
- 花粉(アレルゲン)が体内に侵入
- 免疫システムが花粉を異物と認識
- IgE抗体が生成される(感作)
- 再度花粉に曝露されると、肥満細胞から化学伝達物質が放出
- 神経や血管が刺激され、アレルギー症状が出現
主な原因花粉
日本では約60種類の植物が花粉症を引き起こすとされていますが、日本人の約38.8%がスギ花粉症であるとされています。
注意が必要な花粉は以下の通りです。
- スギ(2月〜4月)
- ヒノキ(3月〜5月)
- ブタクサ(秋)
- ヨモギ(秋)
眼科で診察する花粉症
眼科では、主にアレルギー性結膜炎(目の花粉症)の診断と治療を行います。
花粉症の診断方法
まずは以下のような症状がないか確認します。
- 目のかゆみ
- 充血
- 目やに
- 目のゴロゴロ感
- 目の痛み
- まぶしさ
- 涙が出る
また、以下の所見が見られる場合、アレルギー性結膜炎の可能性が高くなります。
- 上まぶたの裏側に大きなブツブツとした突起がある。
- 黒目と白目の境界にできる堤防のような白目の膨らみがある。
- 黒目に盾形のえぐれた部分がある。
- 白目がゼリー状に膨れた状態になっている。
- まぶたの裏側にブツブツとした突起が見られる。
診察の結果、必要に応じて、アレルギー検査を行う場合があります。
アレルギー性結膜炎(目の花粉症)の予防と対策
花粉症の場合
- メガネの着用:
普通のメガネでも花粉の60〜70%をカットできます。花粉症用メガネを使用すると、さらに効果的です。 - 帽子の着用:
つばの広い帽子をかぶることで、顔や髪に花粉が付着するのを防ぎます。 - マスクの使用:
目や鼻への花粉の侵入を防ぎます。 - コンタクトレンズの使用を控える:
花粉シーズンはメガネの使用を推奨します。
帰宅後の対策
- 洗顔:顔全体を洗い、目の周辺に付着した花粉を洗い流します。
- 衣服の花粉除去:帰宅時に洋服や髪についた花粉を払い落とします。
- 手洗い・うがい:体に付いた花粉を洗い流します。
その他の予防策
- 花粉飛散情報の確認:
飛散量の多い日や時間帯の外出をなるべく控えるようにしましょう。 - 初期療法:花粉が本格的に飛散し始める前に治療を開始すると効果的です。
- 衣類の選択:花粉が付着しにくいツルツルした素材の衣服を選ぶことをお勧めします。
- 洗濯時の工夫:静電気の発生を抑える効果のある柔軟剤を使用します。
これらの予防法を組み合わせることで、アレルギー性結膜炎の症状を軽減できる可能性があります。
ハウスダスト(ホコリ)・ダニなどの場合
アレルギー性結膜炎の予防法には、花粉症以外にも以下のような方法があります。
室内環境の整備
- こまめな掃除:
ホコリの溜まりやすい場所を重点的に清掃します。 - 寝具のケア:
布団を天日干しし、布団乾燥機を使用します。掃除機でダニを除去します。 - 通気と除湿:適切な換気と湿度管理を行います。
アレルゲンの回避
- ペットの飼育:
アレルゲン検査でペットの毛やダニが原因と特定された場合、室内でのペット飼育を再考しましょう。 - 衣類の選択:
毛羽立った衣類を避け、滑らかな質感の服を選ぶことをお勧めします。
生活習慣の改善
- 規則正しい生活:
体調管理のため、規則正しい生活習慣を心がけることが大切です。 - バランスの良い食事:
栄養バランスの取れた食事を摂るようにしましょう。
目の衛生管理
- 洗顔:目の周辺を優しく洗います。
- 人工涙液の使用:洗眼には人工涙液を使用します。
その他の注意点
- 目をこすらない:
強くこすることで感染性結膜炎を招く可能性があるため、注意が必要です。 - コンタクトレンズ:装用を控えめにしましょう。
これらの予防法を日常生活に取り入れることで、ダニやホコリがアレルゲンとなるアレルギー性結膜炎の症状を軽減できる可能性があります。